出張という旅 大分・熊本 2018年8月
出張という旅 大分・熊本
大分県は温泉の湧出量、源泉数が日本一で、「日本一のおんせん県おおいた」をキャッチフレーズに温泉をアピールしている。
温泉好きの私にとっては大変魅力的な大分に出張で行くことになった。
今回の出張は他の案件もあり、熊本とセットで行くこととなった。盆休みを挟んで今月2度目の九州である。
出張のため当然ながら温泉とは縁のないスケジュールとなるが、大分訪問は初めてなので、羽田から大分行きANA1413便に搭乗した時は身震いがした。初めての土地に向かう時は期待で私はいつもそうなる。
旧盆明け8月29日の大分便はたいへん空いていた。
ほぼ定刻通り8時15分に機体はゲートを離れる。プッシュバックしていたトーイングカーが離れ、地上作業員に手を振られながら見送りを受け、広い羽田空港内を滑走路に向けてタキシングしていく。朝の出発ラッシュでもあり滑走路手前にたどり着くまで20分ほどかかった。
今回は非常口座席が空いていたので久しぶりにアサインした。非常口座席は翼の上にかかるが機材がB767なので視界については許容範囲である。足元の広さは普通の座席の比ではない。逆にCAさんはじめ周りから丸見えになるので落ち着かず、少々恥ずかしいくらいだ。まあそんなことは気にせず割り切ってしまえばいいのだが。
また小物などを置けるスペースは無いので極力手ぶらで乗り込むことが必須と思われた。
万一の時は脱出の際の援助を果たす義務が生じるが、同じ料金でこれだけ余裕ある空間を得ることができる非常口座席は選択する価値が十分にあると思う。
午前10時過ぎに大分空港に到着。羽田は曇り空だったが大分は晴天。暑い日になりそうだ。
空港からは大分駅行きのバスに乗る。バスは国東半島の海岸沿いに別府湾を望み走る。
やがてバスは国道10号に合流し別府の市街地に入った。山側にはもくもくと湯けむりが見え、海側には四国へ渡る船乗り場などが見えてくる。いつかはここから四国へ渡ってみたいと思いながら、別府北浜という停留所で下車する。
このあたりが別府駅にも近く別府中心地かと思われた。せっかくなので大分市に入る前に別府市内の市場視察をしようと思う。
国道沿いに「ゆめタウン」が立地していて、平日ではあるが結構賑わっている。
国道から別府駅前まで20分ほど歩いて向かった。
日差しが強く大変明るいが人はあまり見かけず、街も静かである。観光客はこのあたりを昼間は俳諧しないのだろう。
汗をかきながら別府駅に到着。窓口で切符を購入し、ホームへの階段を上がっている途中で会社のスマホが無いことに気付いた。きっと切符を購入した時に窓口に置いたような気がする。慌てて戻ると、窓口氏が保管していてくれた。あってよかった。紛失していたら大ごとになるところだった。油断禁物と自分に言い聞かす。
ちょうどやってきた鮮やかな青い前衛的なデザインの特急ソニックにひと駅だけ乗車する。
座席のヘッドレストがミッキーマウスの耳のような形状をした革張りの特徴的なシート
先日乗った長崎行きのかもめといい、かなり個性的な列車である。自由席車には2名しか乗客はいなかった。
しばらく乗っていたかったが、わずか10分で大分に到着。ここでH営業担当と合流し、大分市内の取引先を一緒に回る予定だ。
大分市は地図を見ると大分県のほぼ中央に位置しており県内の人口の4割を占めているという。
ちょうど昼時なので打合せ兼ねて、大分駅構内にある食堂街で食事をとる。メニュー名は忘れてしまったが、アジフライと漬マグロのセットになった定食がボリュームも味も見事だった。
食事と打合せの後、タクシーで市内の取引先を数件訪問する。郊外では新興住宅地や割と新しいショッピングセンターなどの開発が進んでいた。
約2時間後大分駅へ戻る。
Hさんとはここから別行動で、私は15時11分発のソニックで小倉、そして乗り換えて熊本へ向かう。
熊本へ向かうならJR豊肥本線で熊本まで行くのが距離的にも費用的にも車窓の景色から見てもベストだ。
しかし残念なことに豊肥本線は2016年4月の熊本地震で甚大な被害を受け、阿蘇、肥後大津間で不通となっており利用することができない。運転再開は2020年8月の見通しとのこと。残念だが仕方ない。
今回は小倉を三角形の頂点に二辺を通る形で熊本へ向かう。遠まわりだが特急ソニックと新幹線の威力で、時間的には1時間以上早く到着する。
再びロボットにも昆虫の顔にも見える青いソニックに乗車。自由席にしたが始発駅でもあり乗客はまばら。乗車した車両は中央部分の窓間隔が不均等で、それによってシートの間隔は広くなっていた。飛行機の非常口座席ほどではないが得した気分になる。
別府湾の青い海原を見ながら、青いソニックは坂もカーブもなんのその、と快走する。心地よい揺れが眠りを誘う。
目覚めると大分県北端の中津駅に停車していた。何の変哲もない駅だが、向かいのホームの柱には
「ようこそ中津へ福澤諭吉先生の故郷」
と書かれた看板が掲げられていた。
中津から33分で小倉に到着。14分の接続で新幹線のぞみに乗り換え、さらに博多でさくらに乗り換え熊本着18時。
だいぶ陽は傾き夜の帳がおりてきたがまだ蒸し暑い。今晩の宿に向かう。熊本駅前にやってきた市電はかなり年季の入った旧型車だったが冷房がきいていた。
祗園橋電停で下車。日が落ちだいぶ暗くなり周囲も薄暗くホテルが見当たらないと不安になったが、2分くらい歩くと目の前に今夜の宿であるANAクラウンプラザ熊本ニュースカイが現れた。近くのコンビニでカップ麺など買ってからチェックインした。
今日は暑く長い一日であった。
翌8月30日は曇り空。朝8時にチェックアウトを済ませ、ホテルのシャトルバスで熊本駅へ向かう、シャトルバスとはいっても大型のハイエースだった。車体には、ご当地キャラの「くまもん」が「ニュースカイはおかげさま創業50年だモン!」とのメッセージと共に大きく描かれている。
熊本駅は一部工事中だが新しい。土産物屋などが集まる「肥後よかモン市場」を覗いてみたかったが、午前中は、熊本郊外の取引先訪問としており、熊本駅新幹線口近くのレンタカー営業所で車をピックアップした。
熊本市の郊外には他の地方都市同様に大型のショッピングセンターが数か所あり、駐車場は結構うまっている。宇土のあたりでは新幹線の車両基地があり周囲は田畑が広がっていた。
熊本駅に戻って12時3分のさくらで博多へ移動。久留米、新鳥栖と停車して、12時1分に博多着。
午後は福岡在住3名の営業担当者と打合せ。打合せの場所に利用するのはホテルのラウンジ。貸会議室よりリーズナブルに利用でき、メリットが多い。
大阪や京都、名古屋、札幌でも同様な社内打合せは駅近くに立地するシティホテルのラウンジ利用を定番としている。
街中のカフェでは長時間の利用はしづらく、空間も狭いので周囲を気にしてしまう。
福岡の場合はANAクラウンプラザ福岡のラウンジを利用している。事前に予約入れておくと窓側の角のテーブルなど上座的なテーブルを用意してくれて、頼めばコンセント電源の延長コードもセッティングしておいてくれる。
シティホテルのラウンジとしてはコーヒー代がそれほど高くなく、2から3時間利用しても大丈夫、おかわりも可能だ。
最初の内はカフェや喫茶店を使っていたが出張を重ねたことで知恵がついた事例である。
やはりホテルを制することが出張を制する、といっても過言ではないと思う。
喫茶代は業務打合せなので経費で処理する。
領収書受領は必須である。
忘れてしまうと一気に出張貧乏まっしぐらである。
福岡に出張で来るようになったが、天神と博多駅周辺に出入りする以外、たまに大宰府近くの大野城市に用がある程度で福岡の街を見る機会がない。大濠公園すらまだ見ていないわけで、福岡のほんの一部しか知らないわけだが、大きすぎない大都市という点で好きな街である。人の密度も活気もちょうどいい感じだ。もう少しじっくりこの街を探索してみたい気持ちを抑え東京に戻ることにする。
福岡空港のANAラウンジでPCを開け、メールチェックと出張報告を片付ける。
無料の「一番搾り」で今回の出張業務を締めることにした。サーバーから見事な分量で最後にビールが泡立つのをいつもながら見とれてしまう。
搭乗便はいつものANA266便18時25分発である。
搭乗機は約10分遅れで福岡空港のゲートを離れた。