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サラリーマン生活30年 分野を限定せずに幅広いジャンルで旅、生活、興味のあることを 普通の会社員生活視点から情報発信してまいります。

出張という旅  山口

出張という旅 山口(下松市)

 

山口から戻った翌週の2019年11月18日、7時50分発JAL291便で山口宇部空港へ再び向かうことになった。

この短期間に山口県に2回も向かうのは人生で最初で最後の可能性が極めて高いと思われる」。

今回も航路上の天候はよく4A席の窓から、ほぼ直下に富士山頂の剣が峰と、口を開けたような火口を拝むことができた。

今日は時間の都合でJALの利用だが、たまに搭乗するのも新鮮で好ましい。

機内に入るとドア脇に「スマホ置き」がイヤフォンと同様に盛られており、1個手にする。シートのテーブルに固定させスマホ乗せると、なるほどスマホが見やすくなる、ちょっとしたアイデアツールである。

 

搭乗時に機内に流れるミュージックは、ANAでは葉加瀬太郎さんのヴァイオリンによる「ANORTHOR SKY」。

一方JALはデイヴィッド・フォスターの「I Will Be There With You」でこちらはピアノだ。

どちらも耳に残る素敵な曲だが、これから旅に向かう時にはJALの方がワクワク感を高揚させる効果を感じる。

一方、ANAの曲は帰途、機内にて今回の旅路を振り返ることを誘うような曲風だと思う。

JALでのドリンクサービスでは必ずキウイベースのすっきり甘酸っぱい味わいの「スカイタイム」をお願いする。機内が空いているときはおかわりをしてしまう。

シートの前ポケットには機内誌「スカイワード」が収まっている。この機内誌は旅に関する興味深い記事やエッセイが満載だ。

日本語だけでなく英文でも記載されており下手な旅行雑誌よりクオリティが大変高いと思う。国内外の飛行ルートマップも掲載され、機内で読むのはもったいなく、CAさんにお願いして新品を持ち帰らせてもらう。

 

中5日で再び山口宇部空港へ舞い戻ってきた。今回は前回と逆方向で山口県東部の下松市へ向かう。

下松は山口宇部空港からは80キロほど東方に離れており、帰路は博多経由で帰京することとしたので、今回は下松迄、列車での移動を選んだ。

山口宇部空港のホームページで確認するとメインの公共交通機関新山口方面はバスとなっているが、鉄道の最寄り駅はJR宇部線草江駅で徒歩7分と掲載されている。

空港ターミナルを出て、空港の駐車場の縁に沿って、てくてく歩いていくと4分ほどで空港のゲートに出た。自動車なら数十秒だろう。

大きな通りを渡ると踏切が見えてきて、単線の線路の踏切を渡るとそこが草江駅であった。無人駅で短いホームが一本あるだけの小さな駅だ。空港アクセスとして空港のホームページに案内されている駅としては日本一小さい駅かもしれない。

それでも列車を待つ人が4人おり、その内の2名は空港から来た二人連れであった。

小さいながらも待合室があったが、ホームで外の空気を吸っていると、やがて電車のモーター音が聞こえてきて、新山口行きの黄色いカマボコのような電車がやってきた。たった1両の、色々と改造されたような痕跡のある電車であった。

ワンマン運行となっているが、車掌さんも乗っていて無人駅からの乗客にキップを打って歩く。私も新山口迄の乗車券を購入する。

1両しかないが、それなりの乗客はおり、新山口までドア脇の立ち席が定位置となった。

線路わきの林をかすめるように単行電車は進み、40分ほどでこの付近の乗り換え要衝駅の新山口に到着した。

 

10分ほどの接続で新幹線「こだま」に乗り換える。がら空きの自由席車に乗り込み、わずか13分で徳山着。ここで再度乗り換え、山陽線の岩国行きの鈍行電車で2駅目が下松だった。

下松駅、少し小さめの地方都市の駅である。

駅前にはタクシーが数台、客待ちしていてその奥に路線バスが出発時刻を待っている。

バスの運転士さんに「ゆめタウン下松」を通るか聞いてみると、「通るよ」とのことなのでそのまま乗車する。徒歩だと15分くらいかかりそうなので丁度よかった。

乗ってしまうとわずか数分で「ゆめタウン下松」前の停留所に到着。このゆめタウンという商業施設は中四国地方各地でみられるが、とても集客力があるようでどこも賑わっている。ここ下松でも同様だった

今回の商談はこの近くの小売店である。

 

商談は無事に終わり下松駅へ戻る。帰りのバス時間は微妙なところなので歩いて向かった。初めての町を歩くと、今自分は何をしているのだろうかと突然思うことがあるが、仕事である。日常的空間にいるか、非日常空間にいるかで同じ仕事でも印象度は全然違う。

出張先での業務の方が、プロセスにおいても成果においても質というか、満足度が高い。

車は通るが行き交う人の姿は見ないまま15分ほどで下松駅に到着。

往路来たルートを逆に徳山まで戻り、新幹線「こだま」に乗り換える。

16時過ぎに博多到着、営業担当のHさんと駅近くのドトールで打合せの後、地下鉄で福岡空港へ向かった。

 

今回の出張のささやかな楽しみとして、帰りのANA便のシートを、プレミアムポイントを使い、プレミアムクラスの席にアップグレードしていた。前回同様18時30分発で予約を入れていた。機材はB787なのでシートも新しめのタイプかも知れない。

夕方の福岡空港、出張のビジネスマンをはじめ様々な人々が行き交い、活況を呈していた。搭乗口前には優先搭乗の列が伸びており,みな一様に搭乗のアナウンスを待っている。

定刻の10分前にまずはグループ1の集団が搭乗開始。皆さんダイヤモンドメンバーだぞと誇らしげに、心なしか胸を張って搭乗ゲートに向かって歩いている。

グループ2が呼び出され機内に向かう。最前列の1Hに着席する。ゆったりしていて、足元は余裕あり、おまけに電動リクライニングでさすがに凄い座席だ。担当のCAさんからご挨拶いただき、コートを預ける。

乗客の搭乗中でCAさんも忙しいタイミングと思われるが通路を挟んだ隣の若いスーツ姿の男性は、早々にCAさんを呼び止め、シャンパンを頼んでいる。プレミアムクラスの常連なのか、なかなかの度胸の持ち主だ。

やがて搭乗が終わり、ドアもクローズし、シートベルト確認の案内を終わったが、機体が動き出す気配がない。

暫くすると「ただいま最終の出発前整備を行なっております、暫くお待ちください。」とCAのアナウンスが流れた。

嫌な予感がしつつ、安全のためなら仕方ないなと思っていると、CAさんがペットボトルに入ったミネラルウォーターを「どうぞ。」どくれた。通路挟んだ隣の男性はビールを注文している。やはり只者ではなさそうだ。

10分くらい経ったか、この男性がさらにビールのおかわりをしていると、「機長でございます。出発チェックを行った際、ブレーキの状態を表示する機器に異常が確認されたため整備を行いましたが、修理を要することがわかりました。そのため当便は運航を取りやめ欠航いたします。申し訳ございません。」概ねこのような内容のアナウンスが流れた。

周りは「あーあ」的な空気感が漂ったが騒ぐ人はおらず、みな粛々と降機の準備を始めた。件の男性は「こんな事もあるんですねえ。」とCAさんに言いながら降りて行った。

 

搭乗口に戻ると「後続便への振替手続きを行いますので案内があるまでこのあたりでお待ちください」とのアナウンス。地上係員も急遽なことで慌ただしく動き回っている。

この時点で羽田行きは最終便迄あと4便しかないから全員振替できるのか不安になる。

結局定刻19時45分発の270便へ振替となった。もう20時半近いからこの便もだいぶ遅れている。

プレミアム会員であることか、プレミアムシート利用だったからかはわからないが、一番早い便への振替となった。残念ながら普通席となったが諦めるしかない。

満席の270便は定刻から1時間ほど遅れて福岡空港を離陸した。

上昇とともに意識が遠のいていった。

今回使用できなかったプレミアムポイントは後日、口座に戻ってきた。